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五年目の夏…美月

先生と出逢ってから色々なことがあった。

楽しいこと、哀しいこと、辛いこともあったけど、一番心臓の鼓動が大きく響いた出来事は先生の食道癌発覚だった。

先生が癌になって最初は落ち込んだし涙も出た。

それも奥様を癌で亡くした矢先の癌宣告だったから、先生の心中を思うと励ましの言葉さえ見つからなかった。

そして長年に亘り、奥様を傍で支え続けた先生の心労が、どれほど大きなものだったか?身をもって示された気がした。

でもね、よく考えてみたら、いつかは誰もが灰になるんだよね。

どちらが早いか遅いか・・・それはね、神のみぞ知るのだろうけれど、だからこそ時間の有効性を高めたいと思っている。

私の母は大勢の予想をあっさり裏切り59歳の若さで亡くなってしまった。

そんな思いから、たとえ不倫関係であっても限られた時間を精一杯愛で埋め尽くしたいと思ったよ。

5年前の夏の終わり…

先生が精密検査を受ける前日、せっかく逢えたのに喧嘩別れしてしまった。

明日の詳細も聞かないまま、黙って先生の背中を見送った小雨交じりの夜だった。

それでも朝、目が覚めると居ても立っても居られず、先生を追い求めラッシュアワーの電車に飛び乗った。

駅から駆け足で病院へと向かった。

…けれど、途中で先生を見つけることはできなかった。

それではと、病院に入ると受付から右回りで院内を探すことにした。

同じ方向に周っていれば、いつか先生にぶつかるだろうと思ったけれど、何処を探しても先生は見つからなかった。

ふと、私の方が先に病院に着いてしまったのかもしれないと気付き、入口近くで人波を数えて先生を待った。

直接、逢えなくてもいいと思った・・・。

でも、一人静かに癌宣告を受ける先生の後ろ姿を想像するだけで私の寿命が縮まるようだった。

病院の玄関に先生の姿を見つけた時は、本当に嬉しかったなぁ〜。

先生は私の顔を見るなり、「バカっ!」と一言いい、自分の持っていた鞄をポンと私に向って投げた。

結局、診察まで四時間ほど待ったけれど、一度も席を離れず、一人で宣告を待つ患者さん達の四時間はもっと長かっただろうと思う。

入院中、先生は病室を天国だと言っていた。

朝からゆっくりと音楽を聴き、大きな窓から街を眺めながら好きな本を静かに読む。

まあね、食事は味気ないものばかりで満足がいかなかっただろうけど、それ以外は優雅な入院生活が送れて本当に良かったと思っている。

でもね・・・「快適だ!」と言いながら、「一人ぼっちは寂しい」という先生を残して帰るのが辛くて泣きそうになった。

まあ、六日間の入院のうちの三日間、朝から入り浸っていたけれど、病院に戻る先生の背中を思い浮かべると今でも泣けてきちゃうくらい先生が愛しい。

明日、先生は人間ドックです。

あれから5年が経ったけれど、何年経ったからといって不安が消えるわけではないんだね。

結局、他人事と自分事は物事の流れは一緒であっても、ただ似ているだけであって等しくはない。

心のような限られた領域であっても、愛する人を思う気持ちは千差万別なのだから、
だからこそオンリーワンの恋物語、灰になるまで描き続けていきたいね(^^♪

美月




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プロフィール

不良老人カップル

Author:不良老人カップル
___________

(♂) 紅殻格子(べんがらごうし)
1962年8月23日生まれ。
某大手企業に勤めながら官能小説を雑誌に発表する兼業作家。ブログ『妄想の座敷牢』を主宰するも、2012年、妻を亡くし、また自身も食道癌に罹り、文筆活動をしばらく停止していた。

(♀) 美月
1962年8月23日生まれ。
3人の子供と夫を持ちながら家業の役員を務める兼業主婦。ブログ『灰になるまで恋を』を主宰。 偏屈な紅殻格子と10年に及ぶ愛人関係を続けられる自身もまた偏屈で変わり者。
___________

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