紅殻格子の日記(155)  伴に生きる

紅殻格子の日記(155)  伴に生きる

雨空の下で、房総の桜は満開となりました。

普通なら「今年の桜は残念だった」と言うことになるのですが、私と美月はひねくれ者なのでいつも意外な発見をします。

晴天に桜を観るより曇天の桜は美しいと感じました。

晴天に桜を観ると光の加減で白っぽく映りますが、曇天では光が弱いためか薄いピンク色がくっきりと際立ちます。

55年生きてきて、恥ずかしながら初めて気づきました。

大半の人が忌み嫌う雨の日の花見・・でもそれはそれで実に風流な眺めなのです。

今日も雨中に美月と古刹の桜を観ながら、そこに新しい感動を見出すことができて幸せだと実感しました。

小湊鉄道の上総牛久駅前に「木村屋」という蕎麦屋があります。

数年前に偶然訪れてから通い続けているのですが、そこは昭和のまま時代が止まってしまったような変哲もない古い蕎麦屋です。

もちろん味も特筆すべき点はないのですが、素敵なお母さんと息子が私と美月のお気に入りです。

三組も客がいると蕎麦が出るのに一時間かかるほど息子は馬鹿正直に料理をつくります。

ローカル線の駅前にあるので、列車の時間が気になる客には、まだ一時間もあるのに「できない」とお母さんは門前払いしてしまいます。

全く商売っ気のない蕎麦屋なのです。

でもがっかりして帰る客の姿が面白くて、私と美月は常連としてお二人と仲良く接して貰えるようになりました。

今日も蕎麦を食べてから30分以上もお母さんの昔話に耳を傾けていました。

私は人見知りなので、とても一人では他人と仲良く会話できる性分ではありません。

ところがその欠点を補って余りあるほど、美月は、人づきあい、否、人あしらいが上手いのです。

ですから美月が一緒でないと、これほど沢山の人々と交流することができなかったろうと思います。

お母さんと美月が話している横で私はただ頷いているだけですが、とても素敵な時間を過ごすことができました。

美月でなければ、木村屋さんへ毎月一緒に通ってくれなかったでしょうし、一緒にお母さんの話を聞いてくれなかったと思います。

だから、美月と私は、伴に生きるべくして出逢ったのだと強く感じます。

美月がいなければ人生の楽しみは今の半分もないでしょう。

本当に有難く感謝しています。

関連記事

コメント

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントを投稿する

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

プロフィール

不良老人カップル

Author:不良老人カップル
___________

(♂) 紅殻格子(べんがらごうし)
1962年8月23日生まれ。
某大手企業に勤めながら官能小説を雑誌に発表する兼業作家。ブログ『妄想の座敷牢』を主宰するも、2012年、妻を亡くし、また自身も食道癌に罹り、文筆活動をしばらく停止していた。

(♀) 美月
1962年8月23日生まれ。
3人の子供と夫を持ちながら家業の役員を務める兼業主婦。ブログ『灰になるまで恋を』を主宰。 偏屈な紅殻格子と10年に及ぶ愛人関係を続けられる自身もまた偏屈で変わり者。
___________

最新記事
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
ご訪問ありがとうございます
現在の閲覧者数:
想い出の引き出し
画像をクリックするとアルバムが開きます
ブログランキング
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR