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逢瀬に向かう車窓から…美月

年末も押し迫り慌ただしく大掃除をさせている方も多いと思います。

そんな世間の風習を尻目に、今年、最後の週末は東浪見でのんびり過ごそうと思っています。

車内はというと、日曜日ということもあってか、出かける人達は増えていてもお仕事の人がいない分、若干空いています。

月並みな言葉ですが、一年は早いものですね。

先日、長男と話していて、年をとると一年を長く感じるというデーターがあると言っていました。

それは若い頃と違って節目や行事が少ないからだそうですが、毎週出かけて刺激を与えられているので、ホント、一年早い早い!!

年を取るのを忘れてしまうほどです(^^)

若い頃の中年のイメージは、もっと単調な世界に見えていた。

話題は近所の話で、それも人を変えても話の内容は殆ど同じだった。

変化のない暮らしを平凡な幸せと言われていた時代に、私のように恋い焦がれて男に逢いに行く五十女はいなかったと思う。

そんなふしだらな女が居れば銭湯で話題になるものだし、水商売の女性は基本的にマイノリティー扱いされていたので常識人としてカウントされない。

もちろん、子供の視点から見た世界なのではっきりとした真実はわからないにしても、大人と肩を並べて生きてきた私の目に映る女は居なかった。

両親の夫婦仲の良さに嫉妬しながら憧れて、それでも何か違うような、女にはもっと違った感情があるような気がしていた。

燃え盛る炎の中で好きな男の名前を叫んで燃え尽きたい。

はたまた静かに流れる川面に青葉を追いかけ、ただ一途に愛する男のことだけを思い浮かべて安らぎの時を過ごしたい。

女という生き物は、くるくると変わる万華鏡のように美しくも醜くも留まることを知らない不確かな存在のような気がしていた。

そんな女になりたいと思っていた、ただ漠然と…。

こんな奇妙でめんどくさい話を聞いてくれる友達も心を許せる恋人にも恵まれず42歳になった。

それが、元夫の不貞をきっかけに燻っていた感情は、先生に向かって一気に放たれた。

夫への仕返しに不倫をする妻も多いというけれど、仕返しする感情など思い浮かぶくらいなら、二、三発、本気でぶん殴って、わんわんと泣きじゃくり夫の胸に飛び込めばいいと思う。

私は先生と出会って、夫という存在をこの世から消してしまった。

あれから15年、今も私は先生に取り憑いている。

たまにね、実は私、死んでいる人間ではないかと思う時があるけれど、そんな小さなことはどうでもいいよね。

先生と一緒ならね…(^-^)

美月
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プロフィール

不良老人カップル

Author:不良老人カップル
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(♂) 紅殻格子(べんがらごうし)
1962年8月23日生まれ。
某大手企業に勤めながら官能小説を雑誌に発表する兼業作家。ブログ『妄想の座敷牢』を主宰するも、2012年、妻を亡くし、また自身も食道癌に罹り、文筆活動をしばらく停止していた。

(♀) 美月
1962年8月23日生まれ。
3人の子供と夫を持ちながら家業の役員を務める兼業主婦。ブログ『灰になるまで恋を』を主宰。 偏屈な紅殻格子と10年に及ぶ愛人関係を続けられる自身もまた偏屈で変わり者。
___________

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