紅殻格子の日記(161)  『野良猫』 第一章

野良猫

紅殻格子の日記(161)  『野良猫』 第一章

ベッドが軋んでいる。

覆い被さった男が乳房を揉みしだき、息を荒げて激しく腰を撃ちつけてくる。

「気持ちいいか・・気持ちいいだろう?」

担ぎ上げた両脚の間から男は顔を覗かせ、何度も同じ台詞を問いかけ続ける。

「ええ、凄く気持ちいいわ」

藤野麻美は男の興奮を陰部で受け入れながら、次第に醒めていく自分の心と身体を感じ始めていた。

(哀れな男・・)

馬ほどに鼻の穴を広げて呼吸を荒げ、顔面が引き攣るほどの必死な形相で、男は麻美の快楽を征服しようと腰を振り続ける。

「ど、どうだ、亭主なんかよりずっと気持ちいいだろう?」

「ああ、いいわ・・あなたの方がいい・・」

麻美は男の動きに合わせて腰を揺すり、口をわざと半開きにして喘いでみせた。

心が次第に凍りついていく。

(世の中には、この程度の男しかいないのかしら?)

男の阿呆面を心の中で笑いながら、麻美は冷静に自分が置かれた不遇を自嘲した。

この男とは出会い系サイトを通じて知り合った。そして初めて会った今夜、食事もそこそこにラブホテルへ直行したのだった。

元からさほど期待はしていなかった。

そもそも出会い系サイトを利用して、極上の男に巡り合える可能性など皆無である。
だがサイト使って麻美は三十人近い男を漁ったが、セックスに長けた男ぐらいなら、十人に一人ぐらいの確率で出逢うことができた。

ところが男はセックスでも外れだった。

女泣かせを自称した男の男根は、麻美の子宮口を突くこともできない粗品だった。
この先つきまとわれては面倒なので、今夜は一夜限りの夢だとはっきり教え込まなければならない。

つづく…
プロフィール

不良老人カップル

Author:不良老人カップル
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(♂) 紅殻格子(べんがらごうし)
1962年8月23日生まれ。
某大手企業に勤めながら官能小説を雑誌に発表する兼業作家。ブログ『妄想の座敷牢』を主宰するも、2012年、妻を亡くし、また自身も食道癌に罹り、文筆活動をしばらく停止していた。

(♀) 美月
1962年8月23日生まれ。
3人の子供と夫を持ちながら家業の役員を務める兼業主婦。ブログ『灰になるまで恋を』を主宰。 偏屈な紅殻格子と10年に及ぶ愛人関係を続けられる自身もまた偏屈で変わり者。
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