自問自答…美月

今日、訪問した家庭は夫婦二人暮らしで、奥さんが72歳、お亡くなりになった旦那さんが63歳と歳の差婚だった。

病歴をみれば、ここ数年、入退院を繰り返してはいたものの、
奥様曰く、こんなに急に亡くなってしまうとは思ってもいなかったので、今でも病院にいるみたいだと言っていた。

2DKのアパートにはお二人の荷物しかなく、子供達からのプレゼントらしきものもなければ、お孫さんの写真も飾っていなかった。

初めて知る苗字と聞きなれないイントネーションに、ご出身地どちらですか?と訊ねてみた。

岡山出身だと教えてもらった後、「お仕事でこちらにいらしたのですか?」と珍しく追いかけて質問してみた。

普段よりお手続きする時間があったので、72歳とは思えない、どこか派手な印象と、9歳年上の奥さんということで興味が沸いたのかもしれない。

ううん、違うかなぁ・・・。

電子レンジのドア、テレビ台の下etc、茶の間のテーブルから見える位置に、絵付きで書かれた心あたたまる注意事項にお二人の仲の良さが伺えたので少し話を聞いてみたくなったのだと思う。

昭和62年、岡山から駆け落ちをしてきたと言っていた。

用意周到に駆け落ちできたわけではなく、行先も決めず、ただ車に乗って夜の高速道路を走ったそうだけどね。

名古屋で下りて、ご主人はトラックの運転手となってからは、本当に一生懸命働いてくれたと何度も何度も言っていた。

なぜ?駆け落ちをしなくてはいけなかったか?そこまで踏み込むのは失礼だと思ったので聞かなかったけれど、奥さんは大きな瞳を煌めかせ「後悔はしてない」ときっぱり答えてくれた。

ただ・・・出会いのタイミングはあったかもしれない。

もし出会いがもう少し遅ければ、この人生はなかったかもしれないと思うと、ご主人に感謝してもしきれないと言っていた。

私は人から話を聞くたび、真剣に聞かなくてはいけないと思いながら、すぐに先生のことを思い出してしまう。

特に恋愛話、夫婦話など、男と女が登場する話題の中心は先生になってしまう。

だから悲しい話を聞けば先生に当てはめて文字が涙で滲むし、幸せだった、楽しかった頃の話を聞けば、つい先日の二人で過ごした休日のことを思い出し、先生の笑顔を浮かべている。

そう思うとね・・・私は人と対話していないのではないかと思ってしまう。

でもね、先生と話すように素直に心を晒すことはできないんだよね。

先日も同じようなことで先生から注意されたんだけどね。

もっと真剣に向き合わなければいけないとは思いつつ、結局、先生一色になってしまうのは仕方のないことだと思う。

だってね…、自分のことを不幸だと思うことなく過ごせてきたのは、先生のおかげだもんね。

美月

プロフィール

不良老人カップル

Author:不良老人カップル
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(♂) 紅殻格子(べんがらごうし)
1962年8月23日生まれ。
某大手企業に勤めながら官能小説を雑誌に発表する兼業作家。ブログ『妄想の座敷牢』を主宰するも、2012年、妻を亡くし、また自身も食道癌に罹り、文筆活動をしばらく停止していた。

(♀) 美月
1962年8月23日生まれ。
3人の子供と夫を持ちながら家業の役員を務める兼業主婦。ブログ『灰になるまで恋を』を主宰。 偏屈な紅殻格子と10年に及ぶ愛人関係を続けられる自身もまた偏屈で変わり者。
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