桜への思い…美月

一年に一度・・・上野の山に咲き誇る 桜を静かに愛でながら、

月に照らされし花影に 二つの影が愛交わる時、

新たな年を迎えられることに言いようのない喜びを感じます。

一昨年…

先生の食道癌宣告は、一生のうち何度も経験できないほどの重圧を感じた。

先生はとても冷静だった。

私は神に楯突いてでも、「先生は渡さない」と精一杯気張ってみせた。

手術は無事終わり、先生と私の時間は今も継続されている。

桜の季節になると、二人のお母さんのことを思い出す。

先生のお母さんとおでん屋のお母さん。

狂気賑わう花見客の横で、静かに杯を傾けながら飲む酒は、故人への慈しみに満ちた味がする。

薄桃色の花びら一枚一枚に、亡き人の面影を探しているのかもしれません。

『明日ありと 想うこころの仇桜、 夜半に嵐の 吹かぬものかは』

親鸞聖人の子どものころの歌だと先日知りました。

明日も見ることができるだろうと安心していると、夜に強い風が吹いて桜の花が散ってしまうかもしれない。

今日という日の大切さを知れば、今するべきことが見えてくる。

時間を大切にすることは、人生を大切にすることだと、私は先生に教えてもらいました。

美月

春の夕暮れ…美月

お彼岸だったので?…というより、父の誕生日だったので横浜まで逢いに行ってきました。

このところお正月の年始あいさつ時以外、私一人で行くのですが、83歳になった父と向かい合って話すのも良いものです。
 
過去に三度死にかけて、それでも気丈に振る舞う父ですが、最近、食欲がないらしく、お医者様から経腸栄養剤を送ってもらったのですが、ココア味が嫌いで飲まずにいます。

弟が毎日、朝と夜の二回、父の家に立ち寄ってくれるのですが、それでも高齢者の独り暮らしとなると心配なこともありますね。

でも、父はユニークな人柄でありながら、偏屈なところもあるので家族も一緒に暮らせないだろうなぁ〜。

ふと、父が私の年を聞いてきました。

「今年で52歳になるよ」と答えると、しばらく無言の父。

とうとうボケたか?と思い、恐る恐る訪ねると、

私の顔をまじまじと見て、「俺が83歳でもおかしくないんだなぁ〜」とみょうに納得していました。

えへへ、この返し技…ちっともボケていないじゃない…(;^ω^)

それに改めて思ったけれど、父と先生…意地悪なところがよく似ています。

夕暮れ時、父と二人、オレンジ色の夕陽に染まりました。

互いに黙ったまま空を仰げば、商店街に落ちる夕陽を思い出し、母の愛を偲びました。

春の夕暮れ 

紅殻格子の日記(5)…千葉マニア

紅殻格子の日記(5) 千葉マニア

美月が千葉についていろいろ書いていますが、最初に連れて行った時は、人がいないとか家が少ないとかずいぶん馬鹿にしていたけどなあ・・・

私は生まれも育ちも横浜ですが、千葉にかなりの愛情を抱いてきた自負があります。
高校生の頃、学校をさぼって九十九里浜へ一人で旅したのが始まりでした。

何故九十九里浜だったか・・・若い男を旅へ誘うのは女しかないでしょう?
でも文通(古い・・35年前だから許してね)していた彼女と逢うことはありませんでしたけど。

その茫漠たる風景にただただ感動しました。
当時は果てしない砂浜に朽ち果てた木造の漁船が点々と埋もれていて、多感な少年の心に生の儚さを教えてくれたものです。

以来、九十九里浜へは数え切れないほど行きました。
乗馬を始めたのも、九十九里浜に乗馬クラブがあったからに過ぎません。

就職して最初に配属になったのは千葉支店でしたし、家庭を持ったのも都賀⇒田喜野井(ローカルで恐縮です)でしたし・・筋金入りの準千葉県民です。

今日、たまたま千葉銀行の人が飛び込みで会社へ来たのですが、すっかり千葉の話で盛り上がってしまいました。

もちろん美月と巡る千葉はまた別の意味で新鮮です。
新しい千葉を二人で創っているような感覚でいます。

美月と二人なら、一度行ったところでもまた新しい思い出をたくさん生み出してくれるのです。
海外へも二人で行きたいのですが、それ以前に千葉の魅力に引き寄せられてしまっています。

旅は場所の記録ではありません。
共に共感できる人との記憶なのかもしれませんね。

九十九里浜

千葉散歩(7)…美月

可愛い二頭のゾウに見送られ長福寿寺を出ると、次に訪れた地は同じく長南町にある笠森観音(笠森寺)でした。

笠森観音

遠めから撮ったのでよくわからないと思いますが、お堂は岩山の上に建っています。
ここでも桜が欲しかったなぁ〜(>_<)

※ 岩山を背にそれぞれ高さの違う61本の柱で支えられた全国でも珍しい「四方懸造り」で建てられた「観音堂」が有名で、国の重要文化財にも指定されている。
堂の上へは75段もの階段を上ることになるが、回廊からは房総の山々を眼下に眺めることができる。

笠森神社1

下界一面、色とりどり花々が敷かれていたら、まるで天国にいるようですね。

でも…先生は天空のお堂を楽しんではいません。

まあ、いつものことですが、「俺は決して高所恐怖症ではない!!」と火を吐く龍のごとく凄まじく反論してきますが、足元は正直です…幽霊のように腰から下がユラユラと揺れています。

えへへ、私はそんな先生を見ると、ちょこっと意地悪したくなりますが、下界に下りた後の仕返しが怖いので、先生が後ろ姿になったところで、しっかりと唇を噛みしめ嘲笑します(^^)/

この時、時刻は11時を過ぎていたので、そろそろお腹も空いてきました。

さて、帰りながらお昼ご飯を食べる店を探さないと…

この後、なかなかお昼ご飯にあり付けず、お腹ペコペコになったけれど、でもやっと見つけた中華料理屋のテーブルに向かい合って座れば、お腹の代わりに心が満ちてくる。

楽しかった二日間、あっと言う間の二日間だった。

先生からもらった数えきれないほどのメールの中に、「お前を幸せにしてやりたいなぁ〜」と書かれているものが何通もあることを覚えています。

私はその言葉だけで十分幸福な気持ちを抱いて眠りにつくことができました。

正直に言えば…明日の朝、目が覚めることがなくても良いとさえ思いました。

子供の頃から幸せになりたいと思ってきた。

でも、幸せになるのがちょっぴり怖かった。

澄み切った青空に憧れながら、晴れのち曇りとなるなら、曇り時々晴れの方が幸福のような気がした。

いつも、幸せを前に足踏みするのは、なぜだろうと思う?

きっと「幸せになってね…」と言われることはあっても、「幸せになっていいんだよ」と許されたことがないからかもしれない。

でも、漠然とした疑問が残ったままでは、与えられた感情を使い切ることができないと思い、先生に訊ねたことがある。

紅殻格子語録1

先生の言葉で、私は「幸せ」という二文字をよく使うようになった。
美月

千葉散歩(6)…美月

なるべく通ったことのない道を探しながら選んだルートを丁寧に走り、以前、何度も見たことのあるお寺の看板に今日は惹かれ立ち寄った。

今日は…というのも変なのだけど、ご縁が合う日だったのかな( ^^) _U~~

  
長福寿寺 看板

願いが叶う!幸せを呼ぶ!吉ゾウくんのお寺、長南町にある長福寿寺さんにお邪魔しました。

まあ、このお寺を一言で表すと、とてもユニークです。

べに花祭りを始めとして、座禅会、講演会、写経会、仏像作りなど様々な活動を通して人を元気にさせてくれる。

伝説の吉象を「吉ゾウ君」として復活させ、日本一大きな“御影石”の象として君臨しています。

願いを叶える方法は…

心に願い事を念じながら吉ゾウくんの足を優しく撫でること…
 

あっ!先生、大変です、足を撫でてこなかったよねぇ〜。

今更、記事を書きながら作法に気が付くなんてね(;^ω^)

でも、その場でわかったとしても、恥ずかしくて撫でられなかったと思うけど…。

ちなみに吉ゾウくんには結愛ちゃんという可愛らしい奥さんがいます。

結ぶ愛と書いてゆめちゃんと読むのですが、結愛ちゃんが恋を成就させ、結婚・夫婦円満へと導いてくれるそうです。

そうなるとね、余計に恥ずかしくて…50を過ぎた中年カップルが恋愛祈願もないよねえ(^^;)

長福寿寺

千葉散歩(5)…美月

朝、目覚めると隣に先生が眠っている。

二人並んで眠るのは窮屈なことだと思っていたけれど、愛する人の寝息を子守唄がわりに眠る夜は、心も体も温かく、真冬の冷たさを春のうららかさに変えてくれる。

朝日

今日はどの道で帰ろうか?

いつもながら予定のない旅だから、二人揃って目についた場所に車を止める。

でも、ほとんどの場合、視線の先が同じなので、どちらかが「行ってみようか?」と声に出す時には、すでに向かっている途中のような気がする。

あうんの呼吸がどのようなものなのか?実際のところよくわからないけれど、先生とは出会った日から行動や感情の微妙なタイミング(気持ちが一つになる瞬間)の不思議を感じることができた。

先生はオカルト嫌いだけど…

言葉では説明できない何か…この世とは違った繋がりを感じる時がある。

どこか懐かしくて泣きたくなるほど切ない思い。

先生と一つになりたいと思うのも、肉体を超えた魂が求めているからかなぁ。

あっ、頭が壊れちゃったわけではないから安心してね(^^ゞ

美月

千葉散歩(4)…美月

大多喜城を出ると、夕食の買い物する為、近くのスーパーに立ち寄った。

地元の人達に紛れて買い物をするけれど、どこか不自然な私達です。

いやいや先生は地域住民かと思うほどスイスイとカートを押しながら、テキパキと買い物をするけれど、私はというと…
用のない子供のようにうろうろしてるだけ。

知らないスーパーは、どこに何があるか?わからないから俊敏に動けないし、なんといっても一番の気がかりは一人で動いて迷子になったら帰れないということ。

はぁ〜・・・方向音痴って治らないのかなぁ〜(>_<)

だから知らない土地に行くと、先生にぴったりとくっついて離れない。
う〜ん、知っている土地でも先生の腕にぶる下がっているなぁ〜(^^♪

この前は先生が重くなった荷物を一度駐車場に置きに行くといったきり、しばらく戻って来なかった。
先生を探しに行こうと思ったけれど、迷子になったら大騒ぎになるからじっとして待っていた。

実はこの時点で迷子だったんだけどね(^^ゞ

スーパーでの買い物は主に地元の新鮮野菜が中心で、メインデッシュは東浪見にある魚平というお魚屋さんで買います。

魚平さんは先生の大のお気に入りで、有名絵画を見るより目を輝かせて魚達を眺めている。

その熱い眼差しは、さかなクンor先生…どちらも甲乙つけがたいなぁ(笑)

この日は先生の大好物「ながらみ」が生のままで売っていたので大喜びです。

大量のながらみを買占め、あとはお店のおばちゃんに薦められたシマボタンエビと浅利を買った。

ホテルに着くとさっそく調理開始。

ながらみは塩ゆでにし、浅利は酒蒸しにした。

きゅうりとキャベツの塩もみと、いつもながらの落花生で晩酌の始まりです。

料理と呼べるほど手間をかけていないけれど、決して手を抜いている訳ではなく、手を加える必要のない素材の美味しさが味わえる夕食でした。

はあ〜思い出したら、シマボタンエビが無性に食べたくなってきた。

とろけるように甘くて、それでいて身がプリプリしていて…先生、まるで私みたいでしょ(^_-)-☆

晩酌を始めてしばらくすると、窓の外に灯りが一つともった。

私は子供の頃から月が好きで好きで仕方がない。

満月近くになると夜が待ち遠しくて、月が翳るまで眠るのが惜しいとさえ思う。

だからね…愛する人と月を見ながらお酒が飲める今、これ以上の倖せはないと思っているんだよ。

旅路の果て二人揃って月に召されたら…月のウサギも一人ぼっちじゃなくなるよね。

美月

千葉散歩(3)…美月

上総鶴舞駅を出ると、しばらく青空の下のドライブを楽しんだ。

夕方、いつもよりく少し早くホテルに着きたいと思っていた。

どうしても乗馬があると時間に決まりを付けて行動しなくてはいけないので自由感はあまりないけれど、行くあてのない旅は、ゆったりとした時間の使い方ができるから、偶然から生まれる面白出来事が増えて楽しくなる。

ホテルのある東浪見まで行く道の途中に大多喜城がある。

何度も近くを通りながら、城下から見上げるだけで済ましてきたけれど、たまには観光地巡りもよいかと思い、大多喜城へと向かった。

今思うと、先生も陽気に誘われたのだろうなぁ〜。

でも、青空と真白いお城の相性は抜群だった。

大多喜城

まあ、お城の概要、展示品については大多喜城のHPを見ていただくとして…

毎度のことながら、私達を楽しませてくれたのは、観光客の皆様のつぶやきでした(^^)/

大多喜城1

桜の花があればもっと景色が映えたのになぁ…(>_<)
美月

千葉散歩(2)…美月

上総鶴舞駅に着くと片手にカメラを持った先客が数名いた。

いすみ鉄道に限らず、電車を愛する人(撮影する)の熱意にはいつも感心させられる。

ううん、電車に限ることないよね。

どんなジャンルであっても、自分の好きなことだから熱心になれたり、好きだからこそ頑張れることを持っている人の眼差しは凛として美しい。

そう思うと、恋愛も同じかな〜(^_-)-☆

…と呑気なことを考えていると、マッチ箱のような電車がゆっくり地面を滑りながら駅で止まった。

この駅で乗り降りする人はいなかった。
それでも電車は止まるのか…と変な感心をしながら、一両編成の電車をバスと同じような感覚で見ている自分が可笑しかった。

上総鶴舞駅3 

女性の車掌さんの優しい声が聞こえた。

さっきまで静かだった小さな駅が一瞬賑わいを見せたかと思ったら、発車ベルと共にカメラを構えた人達も消し去った。

先生と私…二人きり。

貸し切りとなった駅は、日常の静けさを取り戻すと、日向ぼっこしている猫のように、春の陽を気持ちよさそうに浴びていた。

上総鶴舞駅1

上総鶴舞駅2
つづく…

千葉散歩(1)…美月

いつもそう…

旅から戻ると楽しかった時間を振り返り、もう一度頭の中で二人で過ごした時間を楽しむ。

想い出を遠き日に振り返るのも味があるけれど、先生との想い出は鮮度が落ちないうちにしっかりと保存しておきたいと思う。

週初めから千葉に出かけると決めていた。

でも乗馬をしない時は、ゆっくりと過ごせる時間を多くとりたいと思っているので、特別な予定は持っていなかった。

まあね、スケジュール管理はすべて先生任せなんだけどね。

「まったく、お前は何も考えてないなぁ〜(^^ゞ」

…と先生はたまに言うけれど、私はちっとも気にならない。

「だって、先生の方が考えが深いのだから、それは仕方ないでしょ!」とこのお一言で大抵の場合、片が付いてしまうからね。

水曜日、「相棒」を観ていた先生からメールをもらうと、番組のロケ地が千葉ではないか?とあった。

さっそくインターネットで調べてみると、やはり千葉の小湊鐡道(上総鶴舞駅)だと判明した。

ドラマ内の駅名や鉄道名の設定は架空とされていたけどね。

でも、どこか懐かしい哀愁が千葉のローカル線駅にはあるので、先生の目利きならロケ地を推測するのは簡単なことだと思ったけれど、当たったとなると行かなくちゃいけないでしょ(笑)

…なので、最初の目的地は上総鶴舞駅に決まりました。

上総鶴舞駅
つづく…
プロフィール

不良老人カップル

Author:不良老人カップル
___________

(♂) 紅殻格子(べんがらごうし)
1962年8月23日生まれ。
某大手企業に勤めながら官能小説を雑誌に発表する兼業作家。ブログ『妄想の座敷牢』を主宰するも、2012年、妻を亡くし、また自身も食道癌に罹り、文筆活動をしばらく停止していた。

(♀) 美月
1962年8月23日生まれ。
3人の子供と夫を持ちながら家業の役員を務める兼業主婦。ブログ『灰になるまで恋を』を主宰。 偏屈な紅殻格子と10年に及ぶ愛人関係を続けられる自身もまた偏屈で変わり者。
___________

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