紅殻格子の日記(158)  酒

紅殻格子の日記(158)  酒

先日、ある方から日本酒を頂きました。
何やら東京の造り酒屋が予約限定で仕込む幻の名酒だと言います。
美月と二人で飲みましたが、とりたてて美味しいとは感じませんでしたね。
醸造用アルコールが添加されており、喉に焼けつくような炎症感を覚えました。
吟醸酒には味を軽やかにするため醸造用アルコールを使用することがあります。
それ自体もどうかと思いますが、アルコール度数19度のどっしりした生酒で、醸造用アルコールを添加するのは如何なものかと考えます。
好きな酒は人それぞれですが、だからこそ人様に酒を勧めることは難しいのです。
私自身も自分の味覚が人様から受け入れられるか見当がつきません。
結果的に世間で評価されている酒、古くは越乃寒梅、今では獺祭を推奨することとなるわけです。
これは酒に限らず、いろいろな食べ物・飲食店についても同じ理屈なのでしょう。
ですから美味しいものは自己満足している範囲が丁度よく、それを人様に知らしめようとすること自体が傲慢ですよね。
ミシュランなど諸悪の根源でしょう。
私は千葉県の久留里にある『藤平酒造』の酒を愛していますが、最近いささかうんざりすることがあります。
若い主人が山田錦他いろいろな米を使い、それぞれ磨き度合いを変え、覚えきれないほど日本酒の種類を造り出しています。
まるで実験室みたいなもので、ひと月ごとに一銘柄増えるような感じです。
良く言えば味覚の選択肢を増やしているわけですが、悪く言えば「この一品」という自信がない現れでもあります。
「最高の酒はこれです」と店の威信をかけて勧められる酒がないと言うことですよね。
職人は消費者に迎合してはいけません。
そうでなければ最高の酒を造る意欲を失ってしまうことになります。
それは自分の味覚を試される怖い行為だと思いますが、逃げてばかりでは本当の職人にはなれませんよ。

紅殻格子の日記(157)  散策

紅殻格子の日記(157)  散策

先週の土曜日は美月と一緒に東京の室町、末広町、上野公園、アメ横と18,000歩も歩いて湯島のラブホテルに泊まりました。

翌日曜日は湯島天神から神田明神辺りまで10,000歩、都心を歩き回りました。

もちろん地図もガイドブックもない散歩です。

この道を曲がったら何処に出るかわからないけど、変な建物があるからちょっと行ってみようか・・って感覚です。

でも二人で歩くといろいろな発見が目白押しで楽しませてくれます。

名も知らぬ寺院に植わった木々の若葉を愛で、道端に掲げられたペットの糞尿始末の看板を笑い、行き交う人々の生活を想像して討論になります。

ですから名所旧跡は混雑するから敢えて避け、何もない生活路地を住人に怪しまれながら好んで歩きます。

路地に並ぶ鉢植えが生き生きしていると、そこに生活を感じて嬉しくなりますよね。

だって何の飾りもない人々の生活を共に体感できるんですから。

「谷根千」散歩が流行りなのかもしれませんが、私は人工的なテーマパークを歩いて何が面白いのかわかりません。

「鎌倉」も然りです。

人が褒めている道や店を辿ったところで何が生まれるのでしょうか?

もし私が美月以外の普通の女性とおつきあいしていたら、定番の「谷根千」を歩かされていたでしょう。

勿論我々も「谷根千」を歩いたことはあります。

でもほとんど定番のコースに辿り着くことはなく、谷中墓地にある五重塔跡を偶然に発見して感動していました。

興味のある方は、『谷中五重塔放火心中事件』で検索して下さいね。

話はそれましたが、美月と私は一日墓地にいたとしても、墓標を一つ一つ見ながら想像を膨らませて楽しめると思います。

このようにいつも美月と私の感性が似ていると自慢していますが、どうすればそれが理解しあえるのでしょうか?

昔、私は美月が一方的に自分の近所話を始めた時に、「お前の話はつまらん」と怒ったことがありました。

絶対に会話は二人の経験に根づいた共通の話題でなければ面白くないのです。

しかし出逢った当初は共通の話題などありませんよね。

もしたまたま話の中で『京浜急行に乗っていた』というキーワードが一致したら、京急自体は元より、当時の沿線の貧しさ、スラム街の思い出へと繋がり、永遠に歩き切れない散歩道が続いていくでしょう。

こうして美月と私は12年も続く散歩を続けて来られたのかもしれません。

紅殻格子の日記(156)  極悪同盟

紅殻格子の日記(156)  極悪同盟

昨日、面白いネコのぬいぐるみをUFOキャッチャーで捕りました。

我が家のルナとそっくりです。

意地の悪そうなネコですねえ。

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紅殻格子の日記(155)  伴に生きる

紅殻格子の日記(155)  伴に生きる

雨空の下で、房総の桜は満開となりました。

普通なら「今年の桜は残念だった」と言うことになるのですが、私と美月はひねくれ者なのでいつも意外な発見をします。

晴天に桜を観るより曇天の桜は美しいと感じました。

晴天に桜を観ると光の加減で白っぽく映りますが、曇天では光が弱いためか薄いピンク色がくっきりと際立ちます。

55年生きてきて、恥ずかしながら初めて気づきました。

大半の人が忌み嫌う雨の日の花見・・でもそれはそれで実に風流な眺めなのです。

今日も雨中に美月と古刹の桜を観ながら、そこに新しい感動を見出すことができて幸せだと実感しました。

小湊鉄道の上総牛久駅前に「木村屋」という蕎麦屋があります。

数年前に偶然訪れてから通い続けているのですが、そこは昭和のまま時代が止まってしまったような変哲もない古い蕎麦屋です。

もちろん味も特筆すべき点はないのですが、素敵なお母さんと息子が私と美月のお気に入りです。

三組も客がいると蕎麦が出るのに一時間かかるほど息子は馬鹿正直に料理をつくります。

ローカル線の駅前にあるので、列車の時間が気になる客には、まだ一時間もあるのに「できない」とお母さんは門前払いしてしまいます。

全く商売っ気のない蕎麦屋なのです。

でもがっかりして帰る客の姿が面白くて、私と美月は常連としてお二人と仲良く接して貰えるようになりました。

今日も蕎麦を食べてから30分以上もお母さんの昔話に耳を傾けていました。

私は人見知りなので、とても一人では他人と仲良く会話できる性分ではありません。

ところがその欠点を補って余りあるほど、美月は、人づきあい、否、人あしらいが上手いのです。

ですから美月が一緒でないと、これほど沢山の人々と交流することができなかったろうと思います。

お母さんと美月が話している横で私はただ頷いているだけですが、とても素敵な時間を過ごすことができました。

美月でなければ、木村屋さんへ毎月一緒に通ってくれなかったでしょうし、一緒にお母さんの話を聞いてくれなかったと思います。

だから、美月と私は、伴に生きるべくして出逢ったのだと強く感じます。

美月がいなければ人生の楽しみは今の半分もないでしょう。

本当に有難く感謝しています。

紅殻格子の日記(154)  都会遊び

紅殻格子の日記(154)  都会遊び

会社から解放されて美月と逢える週末、その半分は上総一宮の東浪見で、残り半分は都会で過ごしています。

田舎にいると刺激が少ないので感性が研ぎ澄まされます。

敏感になった感性で翌週都会へ出て来ると、余りの情報量の多さに目が眩むようです。

行き交う人々が皆おかしいわけです。

今日は川崎の大師付近、若宮八幡宮(金山神社)の『かなまら(金魔羅)祭り』へ行きました。

Yahooで検索するとわかりますが、男根神輿が練り歩く「性」のお祭りです。

金山神社はそもそも鍛冶屋の神様で、鉄を熱する鞴(ふいご)が性交時のピストン運動に似ていることから「性」祭になったようです。

集まる人々の半数は外国人で、男根の形をした飴を女性達がペロペロ舐めながら歩いていました。

二年前に初めて訪れた時は吃驚しましたが、さすがに二回目となると恥ずかしさもなくなります。

東京オリンピックのサーフィン会場である東浪見も、国際大会が開かれる度に外国人で溢れる国際田舎ですが、この祭は圧倒的な多民族都市を一日だけ造り上げます。

白人・黒人・黄人が入り乱れて大騒ぎするのです。

「人類皆兄弟」とは右翼のフィクサーだった笹川良一のスローガンですが、それを『かなまら祭り』では実感できますよ。

特に人口が減少を続ける日本人よ、もっと「性」に大らかになりなさい。

男はもっと男根を鍛えるべきですし、女はもっと男根の気持ちよさを楽しみなさい。

本当に都会はミステリアスですね。

でも今週は人に酔ったので、来週は東浪見でゆっくりしたいなあ。






プロフィール

不良老人カップル

Author:不良老人カップル
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(♂) 紅殻格子(べんがらごうし)
1962年8月23日生まれ。
某大手企業に勤めながら官能小説を雑誌に発表する兼業作家。ブログ『妄想の座敷牢』を主宰するも、2012年、妻を亡くし、また自身も食道癌に罹り、文筆活動をしばらく停止していた。

(♀) 美月
1962年8月23日生まれ。
3人の子供と夫を持ちながら家業の役員を務める兼業主婦。ブログ『灰になるまで恋を』を主宰。 偏屈な紅殻格子と10年に及ぶ愛人関係を続けられる自身もまた偏屈で変わり者。
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